君はいつまで経っても振り向いてくれない

片思い男性の体験談

男性 10代 学生


好きなった人は気まぐれでした。

白い息が出るような寒い冬。街はイルミネーションで色飾られ、どこか心が踊るような感じになった。
その当時は恋愛など自分とは無縁と思っていた私はカップルを敵視しながら過ごしていた。決まり文句みたいに「どうせすぐ別れるのに」と言い、周りから笑われる。
そんな私に、世界がひっくり返るような事件が起きた。

 

バイト先に新しく入ってきた君。可愛らしいショートヘアで大きな瞳だった。
最初はまったく興味がなく、ただただバイト先の人という認識だった。だが2週間ほど経ったあたりから君の事を女性として見るようになっていく私がいた。
業務連絡しかしなかったメールは次第にお互いの話をするようになっていく。それが何だか楽しくて、私はそれなりに幸せを感じるようになった。

 

そして、12月に入ったある日、君は好きな人がいるということを私に打ち明けた。どうやら同じ学校の男子らしい。
私は自分には好意が向いていないことを知り、悲しい気持ちになったが、不思議と嫉妬はしなかった。私は本当に君の事が好きなのだろうか? という問に答えられない私になった。
ひとまずは君の恋を応援することにした。


一緒にプレゼントを選んであげたり、男ウケがいいファッションを調べてみたり、君と2人でいる時間はどんどん増えていった。
そして、君の頭から私はどんどん薄れていくのが分かる。めでたい事に君は好きな人と電話をするようになり、私とのメールは少なくなった。
私の幸せは無くなった。


君はいつまで経っても振り向いてくれない。
私の事を見てくれない。だけど私は君の恋を応援し続けた。それが君の幸せだということは分かっているからだ。

 

いよいよ世の中はクリスマスを迎える。たくさんのカップルが駅前を歩く。私は1人で公園のベンチに座っていた。君は好きな人と遊ぶと言っていたので、上手くいくといいなと祈っていた。
年に1度しかないクリスマスだ。奇跡の1つくらい起こってくれてもいいのに。
私がそんな事を思っていると、私の隣に1人の女性が腰掛けた。

 

君だった。私は驚きしばらくの間どうしていいか分からなかった。泣いている様子もなく、君は何を考えているんだろう? と考えた。
「あの人ね、好きな人がいるんだって、隣町の高校生みたい」

「どうしてそんなにあっさりしてるの? あんなに好きだったのに」

私の言葉に君はくすっと笑った。

 

「そうだね。あんなに好きだったのにね。だけど、それがあの人の幸せだから」

「そっか。俺も幸せになりたいよ」

「どうすればなれるの」

心臓がバクんとした。ここ1ヶ月間、私が思ってきた事を伝えてしまっていいのだろうか? と体が震えた。

 

でも色々考えて私は笑った。

「今日だけは、一緒にいて欲しい」

「うん。りょーかい」

あの日から2ヶ月が経った今でも、君は振り向いてくれない。